日本人がピアノと仲良くなるために遺しておきたい言の葉
[第1章] 楽器の機能的奏法について
茶話② 自動演奏するピアノの音に何を感じるか
それでも世の中には拘りのある御仁がおられ「人間には無理でも現代、先進のハイテク技術をもってすれば、鍵盤を底まで押しつつ、細かい音型で弱い音が出せるはず」と言われる。
言葉で説明すると、ややこしくなるが要するに、ゆっくり下げ出した1個目の鍵盤が底へ着く前に、次の鍵盤も、ゆっくり下げ始め、同じ速度を保ちつつ鼻の差で底へ着くようにする。
同じ方法を繰り返して鍵盤を次々に下げていけば「われわれ人類が今までに速いパッセージでは聴いた覚えのない音色を、耳にする事ができる」と言う訳。
複雑な音型では無理だが、隣り合った鍵盤なら人間の手でも出来そうな方法がある。
試しに右手の指をドレミファソの上に置いてみる。まず手を内側に捻り、1の親指でドの鍵盤を下げてから、他の指を付けたまま今度は外側に捻りながら4個の鍵盤を下げてゆく。
何とも頼りなく、いわゆる芯のないレミファソの音が鳴り、再び内側に捻れば、ファミレドとなる。
聞こえて来るのは、良識のある先生の指摘を仰ぐまでもなく、次章でも詳しく触れるが、ホールなどでは通る筈のない、魂の抜け殻のような音。
全く興味がないので、どういう仕組みになっているのか調べる気はないが、自動演奏のピアノから出る音も、魂が抜けている気がする。
かつて指揮者の岩城宏之氏が、テレビのある番組で「今から弾かれるのと同じ演奏をピアノが自動で再現してくれます」と言われたのに対して、ご自身も二度とは弾けないのではないかと思われる、かなり荒々しい感じの即興的な1フレーズをメモリーさせた。
さて再演してみたところ、鍵盤が勝手に下がり、いま氏の弾かれたのと確かに同じフレーズには聞こえるものの、ご本人曰く「これ今、僕が弾いたのと違うよ」。
そばにいた友人二人にも同意を求め、もういちど「やっぱり違うよ」と指摘された綺麗なコンパニオンは、大いに当惑しておられたが、テレビの電波を通じてでも岩城氏の訴えは良く分かった。
自動演奏するピアノのその音には、覇気がなかったのである。
コンチェルトを弾き振りで演奏した際、いっしょのステージにいた仲間のメンバーから「ギリギリまで腕を振り回していながら、いきなり手を鍵盤の方に下げて正確に弾ける訳がない。あれは自動演奏のピアノを使っている。指揮をしているとき鍵盤が下がっているのに、僕だけは気づいた」と、うそぶかれてしまったのには、皆んなで腹を抱えて笑った覚えがある。
「バレたか」と返しても良かったが、こちらの拙い音楽を全身全霊でサポートしてくれる彼らの演奏に、鍵盤が勝手に下がってしまうピアノでは、とても太刀打ちできない。
ただ押しても音が鳴ってしまうピアノの鍵盤に、何を込めて下げなければいけないのか?
理屈など無用の、退っ引きならない極意を次章で、なるべく分かりやすく述べたい。
いっぽう、もっと単純な話として「音量を変えるのに老若男女を問わず」と言う事実こそ、ひっくり返せば、プロのピアニストが時として過酷な要求を強いられる要因となる。
以前、ドヴォルザークのピアノ四重奏曲を弾いた際、あとで愛弟子から「あそこでも弱音器は使わないんですか」と驚嘆され、「使わないよ。だって必要ないから」と素知らぬ顔で応えたものの、内心それなりに緊張していたのは確かである。
「自動演奏するピアノと張り合うなんて、どうかしている」と思われるかも知れないが実際、ピアノロールを使ったストラヴィンスキーやラフマニノフによる生々しいまでの記録は確かに存在する。
魂の抜けたような音はさておき、打弦速度以外の要因で如何に音を紡ぎ出していくべきか。たとえば押す深さを変える以外は全く思い付かないのなら、それ以下とは言わないものの、自動演奏と同等とのそしりも免れ兼ねない。
そこで次より掲げる遺言では、打弦速度以外の要因による例外的な奏法を列挙していく。
ピアニストのクリスチャン・ツィメルマンは「音の出し方を三つ知っていたら、ピアノは弾ける」と語っていたそうだが、私の考えるところ、大きく分けても四つ目の奏法がある。
もしもツィメルマンご本人に伝えたら「それは素晴らしい」と誉められるか、ただ苦笑されるか、尋ねて見る気など少しもないが、知らなければ必ず弾けない部分が曲の中に存在するのだけは確かである。
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